クリエイティブなデザイナーへ
元看護師で、現在はPR・広報に携わるデザイナーとして活躍するAさん(仮名)について紹介していきます。なぜ医療職である看護師からデザイナーというクリエイティブな世界に挑戦することになったのか、そして看護師としての経験がどのように活かされているのかをみていきましょう。
なぜデザインの道へ?
Aさんが最初に看護師を目指した理由は「人の役に立ちたい」という思いからです。昔から保健室の先生に憧れており、けがや病気の処置だけではなく生徒たちの話を聞いて悩みを解決できるような存在になりたかったそうです。しかし、養護教諭は狭き門であり、自身が男性であることも加味して看護師に進路を変更しました。看護学校卒業後は小児科に勤めていましたが、そのうち看護師以外の仕事にも挑戦してみたいと強く思うようになりました。また、Aさんの兄弟がデザイン系の仕事をしていたこともあり、もともと興味があったそうです。新しいことに挑戦するなら若いうちのほうがいいと、思い切って当時の職場を辞め、その後はデザイン系の専門学校に3年間通って知識と技術を身につけました。
今の会社での取り組み
Aさんは専門学校後、企業ブランディングに関わる仕事に就いていましたが、専門学校時代の先生から「知人が会社を立ち上げることになり、デザイナーを探しているがどうだ?」と誘われたことをきっかけに今の会社に入社しました。今の会社は、医療機関の運営支援事業や経営コンサルティング事業を手掛けている企業です。Aさんは看護師時代に一度、研修で訪問看護の現場を経験したことがあります。その際に、訪問先の一軒家で高齢の女性が一人で寝たきりの生活をしている姿を見たことがあり、その記憶が強く残っていたことから、在宅医療に関わってみたいという気持ちがありました。
そのため、この会社なら看護師としての経験とデザイナーとしての経験両方を活かしながら、在宅医療サービスを世の中に広げていくための力になれるのではないかと考えました。元来Aさんが持っていた「人の役に立ちたい」という気持ちに火がつき、転職を決めました。Aさんがデザイナーとして行っている具体的な業務は、クライアントのパンフレットやチラシ、Webサイトなどの制作です。地方の病院などでは施設のパンフレットを自分たちだけで作っているケースも多いです。それを綺麗にデザインし直すことで伝えたいことが世間へ明確に伝わり、そこで働く職員の意欲向上にもつながる点に強いやりがいを感じているとのことです。今後はさらに仕事の精度を上げつつ、患者さんやそのご家族が前向きになれるような環境を作っていきたいと考えているそうです。