訪問看護やデイサービスも多い
元看護師が起業するパターンで多いのが、訪問看護事業所とデイサービスです。ここでは、訪問看護事業所を起業したFさん(仮名)とデイサービスを起業したGさん(仮名)の例を紹介していきます。
訪問看護事業所を起業したFさん
Fさんは地元の病院で30代半ばまで働いていました。看護師としてベテランの域に差し掛かり、順調にキャリアを積んでいました。そのため給与も昇給していき、仕事に対する不満はありませんでした。しかし、理事長から「看護師としては有能だが給与が高い」として目を付けられるようになってしまいました。徐々に職場で居場所を失っていったFさんは、理不尽ではありますが退職せざるを得ない状況になってしまいました。別の病院に転職しようと考えていましたが、同じタイミングで旦那さんも退職することになり、子どもの世話は旦那さんがしてくれることになったことをきっかけに、今までとは違うことにチャレンジしてみようと思いました。そこで思い浮かんだ選択肢が、訪問看護事業所の起業です。
経営に関する知識はなかったので、簿記の勉強や会計ソフトの使い方を学ぶなどの下準備をしてから起業しました。今は起業して8年ほどたちますが、病院勤務のころよりもはるかに年収が上回っています。会計に関してわからないことがあっても、税理士さんのおかげで問題なく経営できているとのことです。
デイサービスを起業したGさん
Gさんはもともとクリニック勤務でした。子どもが独り立ちし、旦那さんも定年が近くなってきたことから、自分の将来について考える時間が多くなりました。訪問介護を起業した知人が身近にいたため、起業についての話をよく聞いていたGさんは、自分も起業してみようと思い立ったそうです。いろいろと調べるうちに、近くに安く借りられる事業所があることを知り、デイサービスの起業を決めました。最初は赤字でしたが、利用者のご家族やケアマネージャーへ挨拶状の送付などをコツコツ続けた結果、1年で赤字はなくなりました。経営の知識はありませんでしたが、税理士さんや社労士さんのアドバイスをもとに安定した経営を続けています。
経営に関する知識について
この2つの例をみてもわかる通り、経営に関する知識がなくても成功している人は多いです。もちろんまったく知識がないのはリスクが高いので、簿記や集客方法の勉強くらいはしておいたほうがいいでしょう。元看護師としてこれらの事業を立ち上げるのであれば、最初はインターネットなどを活用した集客よりも、人脈を活用したほうが効果的です。一度お会いしたりお世話になった人にはこまめに挨拶状を送るなど、地道な活動が大切です。経営が安定すれば、面倒な会計作業などは税理士さんに任せるとより効率的な運営が可能となります。